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2022.01.12

妊産婦及び乳幼児をとりまく環境について

私は今回、「母子健康手帳」について調べることで、今と昔の妊産婦及び乳幼児の状況について、またその成長環境について、改めて考えることができた。

「母子健康手帳」の歴史を調べて考えたことは、子供の尊厳である。原形である「妊産婦手帳」の考案の目的が、大きく言えば戦争のためであったことが衝撃だった。確かに、「妊産婦手帳」の導入で、母子健康に関するデータは圧倒的に改善されている。だが、戦争が長期化すれば、兵士として徴兵されてしまうかもしれない状況下で生まれた子供の産声は、母親にはどう聞こえただろうか。ここで思い出すのは、沖縄戦を体験したある女性の手記である。激しい地上戦が行われた沖縄では、乳幼児が防空壕で一度泣き声をあげれば、アメリカ兵に見つかるのも時間の問題となるので、母親は必死でその口を塞ぐ。そうしてやっと泣き止むのは、息絶えた時なのだという。戦争中、唯一の意思表示の手段を封じられた子供とその母親を思うと、胸が詰まる。そんな当時の状況でも、たとえ戦争のために子供の絶対数を増やすことや、またそのために妊産婦が優遇されたことは、しかし明るい未来への第一歩であるようにも思える。それ以降、子供の尊厳が社会の共通認識となっていき、人々の傍で激動の時代を過ごした「妊産婦手帳」は、絶えずその内容を改変・改善していき、「母子健康手帳」となる。

その役割を調べて考えたことは、親の孤立である。「母子健康手帳」には、妊婦の健康状態などの記録や、乳幼児の発育・予防接種・各種検診の記録に始まり、最近では育児のポイントについても記載されている。これらの情報や知識はとても有益で、常に携帯するにあたって必要な情報や知識が全て詰まっている、指南書のようである。そしてその内容は、現代において大きく発展している。しかし、どうして続々と追記される内容が増えていくのかを考えたとき、私が出した答えは親の孤立である。例えば妊娠期の健康状況や、新生児の便の色の知識などは、昔から自分の親から得たのではないだろうか。核家族化の影響が、「母子健康手帳」にも表れはじめたことを考えると、母と子の絆の大切さを、再認識するべきだと思った。

(オフィス総合コース 2年)

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