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2023.02.22
重要な役割を幾つも担う一冊
「母子健康手帳」は、1942年第二次世界大戦下の日本で、「妊産婦手帳」として最初に作られたことを初めて知った。同時に子供の健康記録である「乳幼児体力手帳」が存在したことには驚いた。手帳の持参により、米や砂糖などが妊娠中の女性に優先的に配給され、また医師の診察を受けることを促している。戦中・戦後の混乱期でも女性や乳幼児のことが気遣われていたことがわかる。妊娠は病気ではないと考えられていた時代に「母子健康手帳」が作られた日本は先進的だったと思う。
現在は、母子健康手帳は妊娠したら当然のようにもらえるので、どのように役立っているか考えたこともなかった。日本では小学校入学まで、保険証と同様当然にあるもので広く普及しているのだから、子供の貧困や虐待に役立てないかと思う。
日本は妊産婦、乳幼児の死亡率が世界トップクラスの低さだが、これは母子健康手帳が大きく貢献している。母子健康手帳があることで、異なる場所、異なる時間、異なる専門家であっても一貫性のある継続的ケアが保証されている。育児書としての機能、母子の健康状態を記録する機能など、「母子手帳」というとそんなに大それた役割を果たしているように思わないが、あの手軽な一冊で重要な役割を幾つも担っている。そして母と子の思い出にもなる素晴らしい仕組みだと思う。
(M.Y)